「死ぬなら今だよ。あの人警察呼んだからすぐに来るでしょ」
クネクネが服の下から包丁を取り出した。
「それ、なんで!?」
「なにかありそうだから、さっき服の下にしこんどいた」

私たちが廊下へ逃げ出したときだろう。
白紙は咄嗟に包丁を掴んでいたのだ。
「……本気?」

「はぁ? なにを今更」
私の質問に白紙が笑う。
それは冷たい、氷のような笑みだった。
白紙が握りしめた包丁は、白紙の首元に切っ先を向けている。

あと少し力をこめれば白紙の細くて白い首は切れてしまうだろう。
「白紙、もうやめようや。ウチら、こんなことできへんかったんや」
「黙れ意気地なし!」