まずい。
白紙は本気で死ぬつもりだ。
「ふぅん」
白紙が興味なさそうな声で呟いて天井を見上げた。
蛍光灯に照らされていた室内には、いつの間にか朝日が差し込んできていた。

また、新しい朝が来た。
とっくに死んでいたはずの私たちの今日が始まろうとしている。
白紙の親指に力がこもった。
「走って!」

次の瞬間私は白紙の体を横へと押し倒していた。
ふたりでもみ合うようにして床に倒れ込む。
白紙が立ちふさがっていたドアを開けてクネクネとだいだらぼっちが廊下へと飛び出した。

「邪魔すんな!!」
白紙が絶叫してライターのスイッチを押そうとする。
私は必死で白紙の右手首にしがみついて力を込めた。