白紙を刺激しないように優しく声をかけて右手を差し出したけれど、それは簡単に振り払われてしまった。
叩かれた右手がヒリヒリと傷む。
「簡単に言わないでよ。外に出ればもう一緒になんていられない。それくらいのことわかってる!」
みんながバラバラになって警察署へ送られてしまう様子がまざまざと脳裏に浮かんできた。
想像するだけで怖い。
だけど今はもう、自分が死ぬことのほうがもっと怖くなっていた。
魂が抜け落ちた大島くんの体は重たくて、まるで骨が失われてしまったかのように手足、首までもが重力に負けて垂れ下がっていた。