「ってかさぁ、ここ山の中すぎるでしょ。まわりなにもないじゃん」
炭に興味を失った様子で白紙が窓へと近づいて行った。

「ここは夏の間しか使わない別荘だからね。山の中にあるのは涼しいからだよ」
私の説明に白紙は窓を向いたまま首をかしげている。
「涼しいかぁ?」

昨今はどこに行っても涼しいと思える場所が少なくなってきた。
が、昔はここも十分涼しく夏を過ごせる場所だったんだ。

「せっかく死にたい女子高生さんが準備してくれたんだから、文句はそれくらいにしたら?」

白紙の隣にクネクネがやってきてピシャリをはねつける。
白紙は面白くなさそうにふんっと鼻を鳴らしただけだった。
見るからに正反対のタイプのふたりはすでに険悪ムードだ。
だめだだめだこんなことじゃ。