大島くんはきっと夏休みの間に私に沢山仕事をさせて、借金をゼロにする予定だったんだろう。
その予定が狂いそうになって慌てている。
『夏休みの二日目から、たぶん三日間くらいかな』

そう答えた瞬間、大島くんがなにか閃いたように目を輝かせて身を近づけてきた。
私は警戒して一歩後ろに下がる。
『友達って女ばっかりだろ? 親は参加するのかよ?』
『さぁ、まだわかんないけど』

大島くんにだけは余計な情報を与えてはいけないと思い、あいまいな返事をしておいた。
だけどそれで見逃してくれるような相手ではなかった。
大島くんは横の壁を蹴りつけたかと思うと『ハッキリ返事しろよな!』と怒鳴ってきたのだ。