4人にはそれぞれ憎い相手がいる。
その中の誰かひとりを殺害すること。
そんな予想外の展開になってしまったけれど、みんなこの別荘を逃げ出そうとはしなかった。

むしろ当初よりも楽しんでいるようにも見える。
長引くことになったことがわかった私は、冷蔵庫へ行って冷えたジュースを追加した。
「お菓子はもうないけど」
と言い置いてみんなのグラスに炭酸ジュースをそそいでいく。

シュワシュワと音を立てる液体がなんとも夏っぽくていい。
目張りした窓の外には朝日が登り始めていて、山の中の冷えた空気がだんだんと温められはじめていた。