『え?』
大島くんは真っ青な顔になってこちらに深く頭を下げている。
そこまでして私にお願いしたこととはなんだろう?

見当もつかなくて黙り込んでいると顔を上げた大島くんに右手首を掴まれて、強引に歩き出していた。
『どこに行くの?』
必死について歩きながら質問しても、返事はなかった。

ただどこへ行くのかという目的はちゃんと持っているようで、大島くんは足早に歩き続ける。
私はとにかくそれについていくしかなかった。
『ここ、どこ?』
大島くんに連れられてやってきたのは繁華街から離れた寂れた場所だった。