『どうして大島くんはそんなに私のことを気にするの?』

率直な疑問を口にすれば大島くんは視線を泳がせたあと、少し頬を赤らめて『△△さんは可愛いなと思ったから』と、私にしか聞こえない声でボソボソと答えた。

一瞬なにを言われたのか理解できなかった。
可愛い?
私が?
生まれて初めて家族や親戚以外の人から言われた誉め言葉だった。

私の鼻はペチャンコだし、頬にはニキビができているし、お世辞でも他人から可愛いと言われたことはない。
時間をかけてその言葉を理解していくと同時に、自分の頬が熱くなっていることに気が付いた。
慌てて手鏡を取り出して確認してみると耳まで真っ赤に染まっている。