私のことを気にかけてくれる人がこのクラスにいたのかと少し驚いた。
教室での私は中学時代と同じく読書ばかりをしている。

話しかければ返事をしてもらえるし、イジメを受けているわけでもないけれど、昼食を一緒にするような友人はいなかった。

それはそれで気楽だから、私は昼休憩のときもひとりで読書を続けている。
だから文芸部の中の誰よりも読書量は多いはずだった。
また苦い気持ちがこみあげてきて笑顔がゆがんだ。

『やっぱり辛そうだね』
大島くんは目ざとく私の変化に気が付いている。
『本当に大丈夫だから』

気にしてくれるのはうれしいけれど、大島くんは人気があるからさっきから女子生徒たちの視線が気になる。