彼のどこがどれくらい素敵なのか、休憩時間の度に聞かせてくる。
私が小説の話をしていても、友人は興味を示さなくなった。
『それよりさ、△△も好きな人いないの?』

一瞬、いるよ。と答えそうになった。
友人と同じ意見を言えばつなぎとめることができる。
そう思って。
だけど私は『いないよ』と、答えていた。

こればっかりは同調できなかった。
じゃあ誰が好きなの?と質問されたら、その返事を持ち合わせていないからだ。
『そっかぁ。△△ちゃんにも早く好きな人ができるといいね』

友人は悪びれる様子もなく言った。
いや、本当に悪気なんてなかったんだと思う。
好きな人ができるのは素敵なこと。