目を輝かせて、まるで宝物みたいにワタシの手の中にある名刺を見つめる友人に、ようやくこの紙切れの価値を理解した。
『わかんない。でもワタシがモデルになったらうれしい?』

『もちろん! いろんな子に自慢しちゃうかも』
興奮気味に言う友人を見て、ワタシは名刺に視線を落とした。
モデルになるということは、美しいことが当たり前の世界に飛び込んでいくということだ。

自分よりもずっと綺麗な子たちもきっと沢山いて、その人たちと一緒に仕事をするということ。
一瞬、自分の美しさはかすんでしまうだろうなと思った。

でも、友人からの『××ちゃんすごいね!』という言葉が頭の中から離れなくなった。