達矢が「おじさん、魚を凄い釣って居る」と目をまん丸くした。

おじさんが「そうだろう？俺は釣りでは名の知れた名人なんだぜ」と達矢達に得意気に話をした。

謙吾が「じゃ、俺よりも魚を釣って食って居るって事かよ」とおじさんに驚いて居た。

おじさんが「あぁ、そう言う事だよ。まぁ、俺の釣った魚を少し分けてやっても良いけどな」と笑って見せた。

おじさんのバケツに入った魚は、5、６匹居て、その中から３匹貰った。

そうして謙吾達は夕暮れの中「バイバイ」と手を振って別れた。

達矢が家に帰って来ると晴が「お兄ちゃん遅いよ。帰りが遅いから私の分しか買って来なかった」と達矢に伝えた。

達矢が「しょうがねぇな？じゃ、そこら辺で買って来るよ」と話をして家を出た。

そのコンビニにはおじさんが居て「お？さっきぶりだな」と挨拶をして来た。

達矢が「何で此処に居るんですか？」とおじさんに話し掛けた。

おじさんが「話せば長くなるんだが」と思わず口を閉じた。

達矢が「え？おじさんが一人暮らし？」と大きな声で驚いて居ると周りの人の視線が痛かった。

おじさんが「そんなに大きな声で喋るなよ。お前にだけ話をして居るんだから」と達矢に口止めをした。

おじさんが「そう。俺も娘が1人暮らしを始めてね？妻には若い頃に病死して亡くなったんだ」と達矢に話をして居た。

達矢が「それはご愁傷様です」と申し訳なさ気に話をした。

おじさんが「まぁ、しょうがないんだけどな」と苦笑して居た。

達矢が「その娘さんは、たまには帰って来ないんですか？」と話し掛けると、おじさんが「そんな事ある訳ないじゃ無いか。俺の世話だけはしたく無いって言われるんだよ」と達矢に本音をポロっと漏らした。