「っと、こんなもんかー?」
結界を貼り終えた俺はUFOから飛び降りて地面に着地し、外装部分を金槌で叩いて修理しているちゅうじんへ声をかける。
「おう。次はあれを機関室まで運んでくれ」
ちゅうじんの指さした方向に、黒いボックスのようなものがあった。
あれを運べば良いのか。確か機関室は中にある階段を降りた先だよな。
ボックスへ近づき、両手で持ち上げようと腰を下ろす。
「って、重っ!」
持ち上げようとするが、あまりの重さに腰がやられそうになる。
あっぶねぇ……まだ20代前半だってのに危うくぎっくり腰になるところだった……。
もしそんなことになれば、SSのみんな(主に夜宵と王子の2人)から笑いものにされる。それだけは避けなければ。
慎重になっていると、外装修理を終えたちゅうじんがUFOから降りて来た。
「そんなに重いか?」
「いや、少なくとも常人はこんなの持てんぞ……」
俺が代報者で祓力持ちじゃなかったら普通に持てなかっただろうな。
祓力を腕と手に纏わせてボックスを持ち上げ、UFOの中へと入る。機内は無機質な空間が広がっており、入ってすぐのところに地下の機関室へ繋がる階段が見えた。
慎重に階段を降りて、機関室の前に到着すると自動で扉が開いた。俺は中に入って、隅の方にボックスを置く。と、太い線を手に持ったちゅうじんが入ってきた。
「次はこのケーブルを機関室のボックスとあそこの差込口に繋いでくれ」
「へーい」
ちゅうじんはケーブルを渡すだけ渡して、階段を上っていった。
ケーブルにしてはかなり太いけど、それぐらいなければこの大きいUFOは動かないのだろう。
さっそくボックスの接続部と壁に埋め込まれている差込口へケーブルの端を繋げる。
その後もちゅうじんに指示を仰ぎながら修理を手伝うこと3時間。俺とちゅうじんはUFOをコントロールするための設備があるメインルームにいた。
「これで最低限の修理は完了だな」
「つ、疲れた……」
息を吐きながら、その辺の柵に腰かける。
「そんなんでへばるとか地球人は貧弱だな」
「そっちの常識でものを語るな。こっちからしたらお前が異常なんだよ」
そのせいで、この9カ月弱どれだけ俺が苦労したことか……。
家は壊されるわ、勝手に動き回るわ、面倒ごとに巻き込まれるわ、本当に碌なことが無い。
「ボクは少し外にものを取りに行ってくるから、適当に休んでろよ」
「そうさせてもらうわ」
ちゅうじんはメインルームを出て出入り口の方へ向かった。
休むと言っても、特にすることもないのでメインルームをじっと見回す。前には操縦席に制御パネルといった機体を動かす設備が整えられており、その後ろには透明な長机と椅子が置いてあった。
UFOの中ってどんなもんなのかと思ってたけど、案外アニメとか漫画で出てくるような造りになってるんだな……。
柵から離れて、メインルーム内を見て回っていたら、何やら操縦席付近からピコンッ! という音が連続して聞こえてきた。
ちょうどちゅうじんがメインルームに入ってくる。
「おーい、なんかあっちの方から音が聞こえるんだが……」
「ほ、ホントか⁉」
声を掛けたのも束の間、ちゅうじんは急いで音の方へ駆け寄り、赤いボタンを押す。と、音が停止する代わりに今度は声が聞こえてくる。
『$#……@#、……C……×&……』
「……?」
聞きなれない音が途切れ途切れに聞こえてくるので、思わず首を傾げる。
すると、突如前方のスクリーンに軍服のようなものを着たグレイの姿が映った。
ちゅうじんは慌てて腕に着けた時計のようなものを操作し、擬態を解き、宇宙服姿のグレイに変身。したかと思えば、日本語ではない別の言葉で何やらその人と話し始めた。
一体、何話してんだ……。
耳を澄ませるも何を喋っているのか分からないので、その間今後のスケジュールを確認しつつ、会話が終わるのを待つ。
5分ぐらいしたところで、スクリーンが暗転してちゅうじんが俺の方を向いた。
「おー、どうだった?」
「あー、そのだな……。1か月後にルプネスへ帰らないといけなくなった」
ちゅうじんは気まずそうに視線を横に逸らしながらそう告げた。
いずれこうなることは予想していたが、これはまた――
「――随分と急だな」
「やっぱりそう思うよな? でも、上官の命令だから期限を延ばすわけにも行かないんだ」
上司の命令は絶対というのはどこでも変わらないらしく、ちゅうじんは困ったように笑う。
「ひとまず、修理が終わってんなら帰るか。細かい話はそれからでもできるだろう」
「そうだな」
現状、ちゅうじんは観文省に臨時ではあるが籍を置いている。1か月後にここを発たないといけないので、その間に諸々の処理を済ませてしまわないといけない。
……こりゃ、年始早々忙しくなりそうだ。
俺は鬱々とした気分のまま、ちゅうじんと一緒にキテレツ荘へ帰るのだった。
結界を貼り終えた俺はUFOから飛び降りて地面に着地し、外装部分を金槌で叩いて修理しているちゅうじんへ声をかける。
「おう。次はあれを機関室まで運んでくれ」
ちゅうじんの指さした方向に、黒いボックスのようなものがあった。
あれを運べば良いのか。確か機関室は中にある階段を降りた先だよな。
ボックスへ近づき、両手で持ち上げようと腰を下ろす。
「って、重っ!」
持ち上げようとするが、あまりの重さに腰がやられそうになる。
あっぶねぇ……まだ20代前半だってのに危うくぎっくり腰になるところだった……。
もしそんなことになれば、SSのみんな(主に夜宵と王子の2人)から笑いものにされる。それだけは避けなければ。
慎重になっていると、外装修理を終えたちゅうじんがUFOから降りて来た。
「そんなに重いか?」
「いや、少なくとも常人はこんなの持てんぞ……」
俺が代報者で祓力持ちじゃなかったら普通に持てなかっただろうな。
祓力を腕と手に纏わせてボックスを持ち上げ、UFOの中へと入る。機内は無機質な空間が広がっており、入ってすぐのところに地下の機関室へ繋がる階段が見えた。
慎重に階段を降りて、機関室の前に到着すると自動で扉が開いた。俺は中に入って、隅の方にボックスを置く。と、太い線を手に持ったちゅうじんが入ってきた。
「次はこのケーブルを機関室のボックスとあそこの差込口に繋いでくれ」
「へーい」
ちゅうじんはケーブルを渡すだけ渡して、階段を上っていった。
ケーブルにしてはかなり太いけど、それぐらいなければこの大きいUFOは動かないのだろう。
さっそくボックスの接続部と壁に埋め込まれている差込口へケーブルの端を繋げる。
その後もちゅうじんに指示を仰ぎながら修理を手伝うこと3時間。俺とちゅうじんはUFOをコントロールするための設備があるメインルームにいた。
「これで最低限の修理は完了だな」
「つ、疲れた……」
息を吐きながら、その辺の柵に腰かける。
「そんなんでへばるとか地球人は貧弱だな」
「そっちの常識でものを語るな。こっちからしたらお前が異常なんだよ」
そのせいで、この9カ月弱どれだけ俺が苦労したことか……。
家は壊されるわ、勝手に動き回るわ、面倒ごとに巻き込まれるわ、本当に碌なことが無い。
「ボクは少し外にものを取りに行ってくるから、適当に休んでろよ」
「そうさせてもらうわ」
ちゅうじんはメインルームを出て出入り口の方へ向かった。
休むと言っても、特にすることもないのでメインルームをじっと見回す。前には操縦席に制御パネルといった機体を動かす設備が整えられており、その後ろには透明な長机と椅子が置いてあった。
UFOの中ってどんなもんなのかと思ってたけど、案外アニメとか漫画で出てくるような造りになってるんだな……。
柵から離れて、メインルーム内を見て回っていたら、何やら操縦席付近からピコンッ! という音が連続して聞こえてきた。
ちょうどちゅうじんがメインルームに入ってくる。
「おーい、なんかあっちの方から音が聞こえるんだが……」
「ほ、ホントか⁉」
声を掛けたのも束の間、ちゅうじんは急いで音の方へ駆け寄り、赤いボタンを押す。と、音が停止する代わりに今度は声が聞こえてくる。
『$#……@#、……C……×&……』
「……?」
聞きなれない音が途切れ途切れに聞こえてくるので、思わず首を傾げる。
すると、突如前方のスクリーンに軍服のようなものを着たグレイの姿が映った。
ちゅうじんは慌てて腕に着けた時計のようなものを操作し、擬態を解き、宇宙服姿のグレイに変身。したかと思えば、日本語ではない別の言葉で何やらその人と話し始めた。
一体、何話してんだ……。
耳を澄ませるも何を喋っているのか分からないので、その間今後のスケジュールを確認しつつ、会話が終わるのを待つ。
5分ぐらいしたところで、スクリーンが暗転してちゅうじんが俺の方を向いた。
「おー、どうだった?」
「あー、そのだな……。1か月後にルプネスへ帰らないといけなくなった」
ちゅうじんは気まずそうに視線を横に逸らしながらそう告げた。
いずれこうなることは予想していたが、これはまた――
「――随分と急だな」
「やっぱりそう思うよな? でも、上官の命令だから期限を延ばすわけにも行かないんだ」
上司の命令は絶対というのはどこでも変わらないらしく、ちゅうじんは困ったように笑う。
「ひとまず、修理が終わってんなら帰るか。細かい話はそれからでもできるだろう」
「そうだな」
現状、ちゅうじんは観文省に臨時ではあるが籍を置いている。1か月後にここを発たないといけないので、その間に諸々の処理を済ませてしまわないといけない。
……こりゃ、年始早々忙しくなりそうだ。
俺は鬱々とした気分のまま、ちゅうじんと一緒にキテレツ荘へ帰るのだった。
