透明色のカンバス

 昼は具材たっぷりの素麺とスイカ、それに冷たい麦茶をたらふくいただいた。
 下手に豪勢なものを振る舞うよりこういうものの方が好きだろうから、と父から聞かされていたらしいが――まったくもってその通りだった。大正解だ。
 単にそういう食事があまり好みでないというのもあるけれど、どう頑張ってもその後、委縮してしまっていたことだろう。

 流石は実の父。僕のことをよく知っている。

 食事の後は、今日は宿題を進めるような気にはなれずに、縁側で雲を眺めながらダラダラしていて――気が付けば、じんわりと汗をかく程の熱気に包まれる、午後三時頃。
 夕飯まではまだしばらくあるし――

「ねえ、この辺りで面白そうなところってある?」

 居間でテレビを見ていた二人に問いかける。

「面白そうなところっちゃな、何だぁ?」

 じいちゃんが首を捻る。

「うーん……景色が綺麗なところ、とか?」

「景色かぁ。ああ、悠希は絵を描くんだったか。聡子、どこだぁ知っとるか?」

「この辺ならどこなと綺麗だけんど……ああ、それなら跡地はどうだ?」

「跡地?」

 聞き返す僕に、ばあちゃんが頷く。

「ここから山の方に自転車で二十分ぐらいのところに、廃線跡があってなぁ。周りに家は無いけぇ、絵ぇ描くならいい景色だ」

「廃線……いいね」

 普段から、現実にある風景や想像上の景色を絵にする僕には、持ってこいな素材だ。廃線というものも地元には無いから、未だ描いたこともない。
 散歩ついでにスマホも持って行って、幾らか素材用に写真も撮って帰ろう。

「自転車で二十分か。そこそこ距離あるね」

「それならワシの自転車使いんさい。おんぼろだけんどまだ動くだろう」