君と見た朝焼けを永遠に残したかった


慧はカバンから、先日買ったばかりだという新しいスケッチブックを取り出した。
その動作の途中。カバンの隙間から折られた一枚の紙が落ちた。
海風に煽られてひらりと私の足元に舞い落ちたそれを、私は拾い上げた。

「……これ、なあに?」

色の洪水に白のタイポグラフィで書かれたタイトルが目に飛び込んでくる。

「秋の絵画コンクール?」

慧は一瞬だけ気まずそうに視線を泳がせ、握る手に少しだけ力を込めた。

「……新から、もらった。」

「新くん?あの、美術部で彫刻やってる……?」

「……あいつが、出せって。個人応募もできるからって。」

慧の声は相変わらず低く、どこか他人事みたいに淡々としている。
でも、私は知っていた。
学校の教室で誰とも関わろうとしないときの彼が『本当の無関心』なら、今の彼は『照れくささを隠すための素っ気なさ』だということを。