君と見た朝焼けを永遠に残したかった


そう思うと身体が少し軽くなった。
部屋を片付け、イーゼルとパネルを用意する。

一人でもいい、描きたいものを描こう。
そう思い、僕はまた画面に向かうのであった。

スマホで撮った海の写真を参考に画面にテレピンで薄めた絵具を載せていく。
最初はラフにいこう。
いつも絵を進めていくうちに過去のいろんな出来事が頭をよぎる。
幼少期から現在までを振り返るように。
今はやっぱり、美術部を辞めたことについて考え込んでいた。

元美術部の人たちは僕のことをどう思っているのだろうと考えてしまう。
きっと案外気にしてないと思う。なんか最近深山部活に来てないな~。って思って誰も話題にしてないだろう。
みんながみんな自分の作品に真面目に向かっているはずだ。
みんながくれた僕の絵の感想だって、僕をいじめようだとか、人格否定をしようだとか、僕のことが嫌いだとか、そういうつもりで言ったわけじゃない。
潮風高校の美術部として学生展で団体賞が取れるように、ウケる絵を描くように言ってくれたんだ。
僕の描きたい絵と学生展でウケる絵は違う。
それが自分の中で受け入れられなくて苦しくて美術部を辞めてしまった。
描きたい絵とウケる絵の系統が同じ人にとっては美術部は天国だったかもしれない。
学生展の時期だけ我慢して審査員にウケそうな絵を描いて展示を乗り切って、学生展が終わればまた自分の好きな絵を描けばよかったとも思う。今更だけど。
でも、僕には耐えられなかった。ウケそうな絵を我慢して描くより、自分の描きたいものを描きたかった。