君と見た朝焼けを永遠に残したかった


「辞めた。」

「ごめん。変なこと聞いた。」

「いいんだ。美術部は去年の夏に辞めた。なんか、居心地悪くってさ。絵も一回やめたんだ。むしゃくしゃして。自転車で何度か通るうちに海、描きたくなって。やっぱり絵、やめられないなって思って、少しずつだけど、また描くようになったんだ。」

深山はそう言って、くしゃっと笑う。少し、悲しそうだった。

「今度、私にも深山くんの絵、見せてよ。深山くんの絵、みたいな~。」

「えー恥ずかしいな。でも、美術部で描いた絵はほとんど捨てちゃったから、見せられるような絵はないんだ。今手元にあるのは鉛筆デッサンとスケッチばかりなんだ。」

興味を持ってもらえて嬉しかったのか、深山は照れながら笑った。

「そうなんだ。もしよかったらでいいから、機会があったらでいいから、いつか見せてほしいな。」

「うん。その時は、よろしく。」

「そろそろ朝ごはんの時間だから帰らなきゃ。深山くん、今日はありがとう。ミルクティーも、もらっちゃったし。」

「僕もそろそろ帰ろうかな。今日はありがとう。」

深山くんはゆっくりと立ち上がりカバンにスケッチブックをしまった。

「先、帰るね。学校でまた、会おうね。」

私は立ち上がり、深山くんに背を向けた。

途中振り返って深山くんに手を振った。深山くんもそれに気付き、手を振り返してくれた。
ふふっかわいいやつめ。