君と見た朝焼けを永遠に残したかった


手元にあるスケッチブックと、すり減った鉛筆。
美術部でいつも何を描いていたんだろう。どうして美術部を辞めちゃったんだろう。
何も言わないけれど、彼も何かに傷ついていることだけは分かった。

彼の前では本音をこぼしてもいいような気がした。

「東京でも、ここでも、私どこにも居場所がないよ……。」

言い始めると涙が出てくる。
「僕も、居場所なんてないよ。美術部も辞めたし。」
「上手く馴染まなきゃって思ったら、なんだか作り笑いばかり増えちゃって。」
私は膝に顔を埋め、涙声を隠しながら呟く。

深山くんはしばらく何も言わず、寄せては返す波を見つめていた。

「入江さん、最初はクラスの人気者だったけど、無理してそうだった。」
「僕も、美術部で無理してて、色々嫌になって辞めた。」
「僕はいつも一人でいることが多いけれど、一人でいることは悪いこと?友達に囲まれてないとダメかな?」
「そんなことを考えてしまって、息苦しくなった。」
「でも、ここでなら、息ができる。」

深山くんはそれ以上何も言わず、朝焼けの光を受ける瀬名の横顔を、静かに紙の上に描き始める。