君と見た朝焼けを永遠に残したかった


眠れない。落ち着かない。
どこかへ行きたい。
起きて服を着替え、キッチンで水を一杯飲む。
両親が起きてこないようにそーっと家を出る。

ほの暗い世界の中で必死に自転車を漕ぐ。落ち着かない。落ち着かない。
住宅街を抜け、見えてきた広い駐車場を突っ切る。自転車から降りて砂利道を突っ切る。

「ふぅ・・・。」

自転車を停めて歩く。どれだけ走っただろう。海に来ていた。
今は朝の四時過ぎ。まだ外は薄暗かった。

段差に腰を下ろし、しばらく海を見つめる。

その時

「わぁ・・・」

暗い青からほんの少しずつ白んでいく黎明の海。
ピンクとオレンジの光に照らされて、スパンコールのように輝き始めた。
昔美術館で見た絵みたいだなと思った。あの絵は夕暮れ時の絵だったけれど。

あまりの美しさに見惚れていた。潮の匂いがする。

海に来ているのは自分一人だけだった。

「ここなら、誰の目も、誰の評価もない。」

僕は小さめのスケッチブックをカバンから取り出し、誰に見せるでもない海の絵を描き始めた。

そして、ここがのちに瀬名と出会う場所になる。