君と見た朝焼けを永遠に残したかった


絵を辞めたわけじゃない。美術部を辞めただけだ。
絵を描くことは好きだし、これからも描いていく。一人で。

やり場のない焦燥感に突き動かされ、必死に自転車を漕いだ。
家に帰る。二階の自分の部屋に駆け込み閉じこもる。

キッチンから両親の会話がうっすら聞こえてくる。

「慧、部活辞めたらしい。」

「あら、そうなの。あんなに絵描くの好きだったのにね。」

「絵描くのやめたわけじゃないとは思うんだけども、頑張ってたもんな。ちょっと疲れちゃったんじゃないかな。」

うん。疲れた。少し疲れただけ。僕なりに頑張った。つもり。
今は夏休みで休める。少し休もう。少しだけ。
慧はそのままベッドに倒れ目を閉じた。