君と見た朝焼けを永遠に残したかった


土日でウケる絵を完成させる。そう決めた僕は土曜日の朝から美術室へ向かった。
第三美術室を覗くと新も学校に来ていた。

「おはよう深山。学生展に出す作品は描けたか?」

「ううん。まだ。」

「もうすぐ締切じゃないのかよ。」

「うん。でもまだ納得いってないところがあって、もう少しだけ、頑張りたい。そういう新はどうなの?」

「俺?俺はもうすぐ完成する。」

目の前にはどこまでも伸びる木の幹のような彫刻があった。健やかな成長を感じられる。穏やかだがどこか地に足のついた力強さを感じられる彫刻だった。

「ほぉ・・・。」

思わずため息が漏れていた。

「なんか、すごく迫力がある作品だね。新らしいと思う。」

「そうか?ありがとうな。」

そう言う新は汗だくだ。

「ここちょっと冷房の効き悪くね?」

「うん。何か飲み物買ってきたほうがいいと思う。」

二人で校舎裏の自販機へ行くことにした。

「ねえ、新はどうして僕に話しかけてくれたの?」

「話しかけるのに理由なんていらないだろ。なんとなく気になった。それだけだ。」

「そっか。」

自販機でロイヤルミルクティーを買い、第三美術室へ戻り、新と別れ、僕は第一美術室へ入った。

話しかけるのに理由なんていらない。か、そんなこと思ったこともなかったな。
そうだよな。小学校の時も中学校の時もなんとなく気になって話しかけてきてくれた人が周りにはいた。
だけど、折角話しかけてくれたのに、適当な相づちもできないまま困惑する僕を見てみんな呆れて話しかけてこなくなったんだな。
今更だけど。嫌になっちゃうな。変えなきゃな。この性格。
そう思った。