「トイレとか行ってきな」
彼が戻ってくるまで少し、目を閉じる
思い出していた。彼がここまで何を話していたか
「夢を諦めたくない」
それだけじゃなかった
その言葉だけじゃなかった
私の心に刺さっていたのは。
彼の気持ちがわかってしまう
諦めかけていたのは自分もだから
「漫画家になりたいんです。でもそういうのはうまくいくのは一握りっていうじゃないですか。」
芸術家っていうのはそうだよね
「現実的なこと考えたら就職すべきなんです。高校の時からそうです。本気で漫画家って言うなら美大とか、なんなら専門学校とかに進むべきだったんです。」
ああ、そうだ、だからとりあえず普通っぽい学校に入って先延ばしにする
「でも決めきれなくて、絵に捧げる覚悟がなかった。絵しかないわけじゃない。ほかもあるんです。勉強が嫌いなわけじゃない。別に町工場に就職して事務作業するのだって苦しいわけじゃないんですよ。大学は、プログラムをやってました、それも別に楽しかった」
勉強も、働くのも、きっとそつなくこなせる
「嫌なのは、働くこととか、何も残せてないとかじゃなくて、」
そう、別にうまくいかなくてもいいんだよな
「優柔不断で、決めきれなくて、ここまでなぁなぁでやってきて、なにかを諦める覚悟もない、そんな決めきれない、覚悟もない自分が嫌で、ずっと変わってないのが嫌で」
逃げてるみたいに思えるよな
「大学入ったのも、就職しようっていうのも、全部、ここまでやってきた、絵を描かなかった。描かなかったわけじゃないですよ、絵に全力にならずに、勉強していた時間を捨てる覚悟もないから、就職しようとしてるんじゃないかって」
だから後からでもできるってひとまず職につくんだ
私達は器用だから、できてしまう
決断できないまま、だからどちらにも全力を出せずにいる
「絵にも、勉強就活にも全力になれないままで」
もう片方をおろそかにして失いたくはないから
「決められない自分が嫌になる」
それが私達なんだ
私の心に刺さっていたのは彼であり、彼の考えであり、よく似た自分自身だった
コンコンと車のガラスをノックする音で気がつく
「あ、戻ってきたね。じゃあ出ようか」
「海老名って…」
あーまだ言ってなかったか
まあ見せたいしいいか
「いいもの見れるよ」
彼が戻ってくるまで少し、目を閉じる
思い出していた。彼がここまで何を話していたか
「夢を諦めたくない」
それだけじゃなかった
その言葉だけじゃなかった
私の心に刺さっていたのは。
彼の気持ちがわかってしまう
諦めかけていたのは自分もだから
「漫画家になりたいんです。でもそういうのはうまくいくのは一握りっていうじゃないですか。」
芸術家っていうのはそうだよね
「現実的なこと考えたら就職すべきなんです。高校の時からそうです。本気で漫画家って言うなら美大とか、なんなら専門学校とかに進むべきだったんです。」
ああ、そうだ、だからとりあえず普通っぽい学校に入って先延ばしにする
「でも決めきれなくて、絵に捧げる覚悟がなかった。絵しかないわけじゃない。ほかもあるんです。勉強が嫌いなわけじゃない。別に町工場に就職して事務作業するのだって苦しいわけじゃないんですよ。大学は、プログラムをやってました、それも別に楽しかった」
勉強も、働くのも、きっとそつなくこなせる
「嫌なのは、働くこととか、何も残せてないとかじゃなくて、」
そう、別にうまくいかなくてもいいんだよな
「優柔不断で、決めきれなくて、ここまでなぁなぁでやってきて、なにかを諦める覚悟もない、そんな決めきれない、覚悟もない自分が嫌で、ずっと変わってないのが嫌で」
逃げてるみたいに思えるよな
「大学入ったのも、就職しようっていうのも、全部、ここまでやってきた、絵を描かなかった。描かなかったわけじゃないですよ、絵に全力にならずに、勉強していた時間を捨てる覚悟もないから、就職しようとしてるんじゃないかって」
だから後からでもできるってひとまず職につくんだ
私達は器用だから、できてしまう
決断できないまま、だからどちらにも全力を出せずにいる
「絵にも、勉強就活にも全力になれないままで」
もう片方をおろそかにして失いたくはないから
「決められない自分が嫌になる」
それが私達なんだ
私の心に刺さっていたのは彼であり、彼の考えであり、よく似た自分自身だった
コンコンと車のガラスをノックする音で気がつく
「あ、戻ってきたね。じゃあ出ようか」
「海老名って…」
あーまだ言ってなかったか
まあ見せたいしいいか
「いいもの見れるよ」
