アサクラさんの駄文

「立て替えてもらってすみません」
「あーまぁこれから付き合ってもらう礼ってことでいいよ、奢りだ」

店を出て、アサクラという人に付いて歩いていた
大学も近いため同じような年の人間がそこらにいる街だ
だがもう終電も過ぎたため、街頭が照らす道には僕達二人だった
店のネオンも2つ3つしかついていない
飲み屋街だが、眠らない街というわけでもない、ここは都心ではないそんな街
アサクラさんが一つ結わえの髪を揺らしながら歩く背中に、寝てはなるまいといくつか言葉をぶつけていた

「さっきドライブって」
「言った」
「アサクラさん?なんて呼べばいいですか?さっきジン飲んでたじゃないですか」
「アサクラリツキ好きに呼んで。」

続く言葉を待つが、特に返ってこない
「ねぇさっき飲んでましたよねぇ!」
また後悔する、変に声を大きくするべきじゃない

「篠山くん!君相当飲んだね!」
こちらのテンションに合わせるように声量を上げて返してくる
顔は見えないままだが声からして口角が上がってるようだった
「あれトニックだけだったぞ!」

今日一番の後悔が来る
どれだけ飲んでたんだ僕は
恥だ

そう思うと冷静になるようで、同時にもっと酔いが回るようで
一段と気持ち悪くなった
トニックだけ…
だから送れと言ったマスターがアサクラさんを止めなかったのか


「その赤い車だ」
駐車場に着き、アサクラさんは僕でも知っているような高級車を指差す
この人は何者なんだ、
「アサクラさんて何なんですか」
だめだ
「思ったことが全部くちにでる」
これはどうやら聞かれなかったらしい

「篠山くーん何番だーい?」
少し離れた精算機から聞いてくる
「23でーーーす」
もう半ばヤケクソな返答だった


アサクラさんが精算を済ませて歩いてくる
「あ、先に開けとくべきだったね」

「大丈夫で、す。そんな待ってませんかr」