結局春也は追加料金を払って一緒の部屋に泊まることになった。ツインしか空いていなかったのがこんなところで幸いした。
備え付けの机にケーキを出す。春也には、甘党の春也が好きなガトーショコラ、わたしはその場で見て美味しそうだった抹茶ケーキだ。
ふたりで夜中のケーキをつつきながらおしゃべりする。
「もうっ。ケーキ食べ終わってたり、わたしがもう寝てたらどうするつもりだったの」
春也は「んー」と天井を見上げた。
「実は気付いたら車に乗り込んでたんだけど。運転しながら、田舎だからどうせホテル空室あるだろと思って。あと、次の日土曜日だから、朝から紬と帰宅がてらドライブするのも楽しそうだなーって」
「ドライブ!? する!」
わたしが身を乗り出すと、春也は「だろ? 楽しそうだろ?」とにやりと笑った。
食べ終わると、肩の力が抜けてきた。
「良かった。今年も春也の誕生日一緒に祝えて」
「日付変わっちゃったけどな」
「そこ! 情緒!」
軽く突っ込んで、お互い顔を見合わせて笑い合う。
ひとしきり笑い合ったあと、春也がぽつりと呟いた。
「あー。これからもずっと、紬と一緒に誕生日祝いたいな」
わたしは目を見開いた。
「え? それって、もしかしてプロポーズ?」
すると春也も目を見開いた。
「え? 今、俺プロポーズしちゃった?」
「わたしに聞くな!」
再び突っ込むと、春也は片腕で頭を抱えて机に突っ伏した。
「いや、待て、今の無し! プロポーズはもっとこう、ロマンチックにしたいから! 仕切り直させてくれ!」
春也の顔は真っ赤だ。それにつられてわたしの顔も熱くなる。
「……仕切り直してもいいけど、できるだけ早めにしてよね」
春也はがばりと顔を上げて目を丸くした。
「すぐ! すぐ仕切り直し考えるから! ちょっと待ってくれ……」
考え込むように再び机に突っ伏した春也の頬にちゅっとキスをする。春也は顔を上げると、微笑みながらわたしの唇にキスを返してくれた。
夜は更けていく。明日はドライブ。そして一年後には結婚式をしているかもしれない。
こんな楽しい夜を、これからもずっと一緒に過ごしていこうね。



