「こうして1人だけ女の子を送っていくとか、いいポイント稼ぎですね」
雪菜が冗談半分にそんなことを言うので「ちょっと」と、止めに入る。
剛志はそんなタイプじゃないと言いたかったけれど、出会って数時間の人のことをとやかく言える立場ではないと思いなおす。
「いやぁ、僕だけ飛び抜けて年上だったからなぁ。少しでも印象よくしとかないと」
剛志は特別気分を害した様子も見せずに答えた。
きっと他の人だったらムキになって否定していたところだろう。
大人の余裕を見せられた気がする。
「ふぅん、そうですか」
雪菜はそれっきり黙り込んでしまったから、ほとんど私と剛志だけで会話をしていた。
好きな食べ物はなにか。
趣味はなにか。
偶然同じ映画を見ていたことで盛り上がったけれど、雪菜はその話題に入ってくることもなかった。
そして、剛志からの告白にOKを出したのは、一週間後のことだった。



