だけど二村剛志は気がついていないみたいだ。
「ノンアルコール? 真面目でいいと思うよ」

私が飲んでいる烏龍茶を見て二村剛志はまるで親のようなことを言う。
「こんな場所でノンアルコールとか空気読めないって思ってません?」

「そんなこと思わないよ。だって君未成年でしょ?」
私はこくこくと頷く。

さっきから小声で話しかけてくるのは、他の子たちに聞かれたらしらけさせてしまうと思っているからかもしれない。

「そう言う二村さんは大人だけどノンアルコールなんですね? しかもオレンジジュース」

グラスの中に半分ほど残ったオレンジの飲み物に視線を向けると、二村剛志は恥ずかしそうに頭をかいた。

「アルコール苦手なんだよね僕。だからこういうところでも飲まないんだ」
まるで子供みたいだ。
アルコールが苦手なところも、一人称が僕なところも。