「私が看護師になろうと思ったのはね……」
ゆっくりと、自分に負担がかかりすぎないよう、話せる部分だけをかいつまんで説明していく。

１年間ほど通院していたところまで説明し終えると、雪菜が真剣な表情で私を見ていた。

怜也に暴力を振るわれていたとか、監禁されたことがあるというのは伏せていたのだけれど、それでも話の流れで当時の彼氏になにかされたのだと、わかってしまったんだろう。

「そんな辛い経験があったなんて知らなかった。合コンとか、無理に誘おうとしてごめんね」

「ううん。知らなかったんだから仕方ないよ」
同い年くらいの同級生たちはみんな入学して慣れてくると彼氏や彼女を作り始めた。

もちろん合コンだってかなり頻繁に行っている子もいる。
私達くらいの年代ならそれも普通のことだ。

「今度からは気をつける」
真面目に言う雪菜がなんとなくおかしくなって、私は笑いながら「うん」と、頷いたのだった。