その時、相手と仲が良かった２人から無視された経験があるけれど、あれは自分の居場所を奪い取られたような強い喪失感があった。

放課後にはその無視も終わっていたけれど、もう二度とあんな思いはしたくないと思ってそれから先は友達の機嫌を損ねないように、子供ながらに細心の注意を払っていたっけ。

「だから、ウチはここで資格を取ったらもう家には戻らないんだ。１人で自立して生きていく」
力強く言う雪菜に私は頷いた。

きっと雪菜であれば立派に生きていくことができるだろうと感じた。
「私は……私のお母さんは画家なの」

なんとなく、今度は自分の番なのかなと思って家庭のことをポツポツと話し出す。
「へぇ、すごいじゃん！」
「珍しい職業だからそう思うだけだよ」

でも、親を褒められると嬉しくてつい笑顔になる。
「性格はちょっと破天荒で、１年前まで赤い髪の毛にしてたの」