言葉が喉に張り付くような感覚がした。
聞きたいけれど、聞きたくい。
そんな気持ちだ。

人の暗い話はどうしても自分の過去とつなぎ合わせて妄想してしまう。

あんなことを経験した人は滅多にいないとわかっているのに、雪菜も同じような目に遭っていたのではないかと、最悪の事態を想像してしまう。

「両親からの束縛がひどいって話はしたと思うけど、その反面期待はされてないから」
「そうなの?」

今までの雪菜からはそんな風に感じられなくて首を傾げる。
束縛が激しいということは、それだけ期待されているということにはならないんだろうか。

「両親が期待してるのは優秀な弟だけ。いずれお父さんの会社を継ぐことのなるから」
「雪菜は?」

「ウチはダメ、勉強もスポーツも人並みから外れることもなかったし、期待されても答えることができなかったから。両親からの束縛が激しいのは、せめて悪いことをしないように監視したいから」