「ごめんね。でも合コンとか興味なくて」
「なんでぇ!? 勉強ばっかりじゃつまんないでしょ、少しは青春しなきゃさぁ!」

断られると思っていなかったのだろう、雪菜は子供みたいに頬を膨らませている。
「それなら今度一緒に映画でも見に行こうよ。女同士だって立派な青春なんだし」

「それはそうだけど……」
それでも納得できないのか、雪菜の表情は暗い。

そんなに私と合コンに行きたかったのかと、なんだか申し訳ない気持ちになる。
「今は行く気がないけど、時間が経てば気が変わるかもしれないから」

「時間が経てば?」
しまった。

余計なことを言ってしまったかもしれない。
「なんでもない」
私は笑顔でごまかして会話を強制的に終わらせたのだった。

☆☆☆

「千尋ってなんだか陰があるよね」
雪菜からそんな風に言われたのは寮の談話室で2人でいるときだった。