死ぬまで誰にも気が付かれない可能性もある。

警察が動いているという希望もあるけれど、たったそれだけの希望ではいつまでも私の心を保つ要素にはならなかった。

横になることも許されず、何度も貧血で気分が悪くなったけれどそれにも慣れてきてしまった。
真っ青になって脂汗を浮かべている私を見て、怜也はニコニコと嬉しそうにしていた。
体力は日に日に落ちていき、脱出するための気力も失われていく。

そんな、ときだった。
アパートの外階段を登ってくる足音が聞こえてきて私はうっすらと目を開いた。

怜也がバイトに行っている間、少しでも眠るのが日課になっていた。
だけど油断は禁物だ。

怜也はフルタイムでバイトをするときもあるけれど、3時間ほどですぐに帰ってくるときもある。
もちろん、シフトは教えてもらえないから、深く寝入ってしまうことはできない。

今日はもう帰ってきたんだろうか。