口の中の水分はすべて吸収されて気持ち悪さが襲ってくるが、それをジッと我慢し続けた。

☆☆☆

椅子に座ったまま少しうつらうつらしていたのだろうか。
「おい!」

と、乱暴な声で起されて目を開けるとナイフを握りしめた怜也が目の前に立っていた。
「なに勝手に寝てんだよ」

怜也の顔はひきつり、額に青筋が立っている。
私が怜也の許可なく寝てしまったから怒っているみたいだ。
でも、そんな。

どうしたらいいっていうの?
言いたいが、声は消えていくばかり。
怜也の右手が突然私の頬をはつった。

最初はなにも感じないが、すぐにジンジンとした痛みと熱が襲ってくる。
顔を殴られたのはこれで2度めだ。

怜也は服で隠れる場所だけを狙っていたはずだから、今までとは状況がかなり変わっていることがわかった。

痛がって顔をしかめている私を見るのが楽しいのか、怜也は何度も何度も頬をはつった。