真っ青になってもう一歩前へ踏み出した瞬間、地面がなかった。
ふとみるとそこは学校の階段で、私の体は空中へと投げ出されていた。

「千尋！」
あの声は鳴海？
確認する暇もなく、私は体中を打ち付けながら階段を転げ落ちたのだった。

☆☆☆

私を呼ぶ声が聞こえてきて急速に意識が浮上していく。
重たいまぶたを開けたときに一番に視界に入ったのは鳴海の顔だった。

鳴海はなぜか鼻水が出るほど泣いていて、私はギョッとして身を離そうとしたけれど、横になっているためそれはできなかった。

次に全身に痛みを感じて顔をしかめる。
「ここ……保健室？」
見回してみると白いカーテンがあり、外からは生徒たちの声が聞こえてくる。

「よかったぁ！　先生、千尋が目を覚ましたよ！」
鳴海が保険の先生を呼び、すぐに駆けつけてきた。

病院にいないということは比較的すぐに目が覚めたんだろう。
「私、階段から落ちて……」