だけど顔を殴られたのは最初のときだけで、後は全部制服で隠れる場所だった。
「約束を破ってみろ、今度は許さないからな」

怜也は吐き捨てるようにそう言うと、私を無理やり立たせて車の後部座席へと押し込む。
ここから先は怜也の謝罪の時間だった。

後部座席には常に救急道具が常備されていて、怜也はそれで私の傷を丁寧に消毒してくれる。
「ほら千尋、服を脱いで」

さっきまでとは打って変わっての優しい声。
まるで、母親が幼子へかけるような声。

私は言われるがままに制服を脱いで、怜也の前で全裸になる。
外で車の中で全裸になるのは抵抗があるけれど、これを拒めばまた暴力が始まるから拒絶することはできなかった。

私は一刻も早くこの地獄から開放され、家に帰りたくて仕方ない。
「ごめんよ千尋。こんなに青あざだらけになって」

怜也は自分が踏みつけた腹部を優しく撫でる。
まるで宝物みたいに撫でられて少しくすぐったい。