「ごめん千尋。だけど俺、千尋が他の男と一緒にいるところを見るのは嫌なんだ。どうしても、耐えられない気持ちになるんだ」

怜也の体は震えていた。
まるで小さな子どもみたいに。
「わ、私こそごめんね。怜也を不安にさせるようなことをして」

男子生徒も怜也の存在を気にして別々に帰ろうとしてくれた。
それを大丈夫だと止めたのは私だ。

きっと、私の軽率な行動のせいで怜也はパニックになってしまったんだ。
「もう絶対にああいうことはしないでくれ」
「うん、わかった。約束する」

私はまだ頬の痛みを感じながらも、怜也の体を抱きしめて返したのだった。