こういう場面をクラスメートに見られるのは恥ずかしかったけれど、今では慣れてしまった。
「それじゃ、また明日ね」
私は男子生徒へ手を振って、怜也の車に乗り込んだのだった。
☆☆☆
怜也の車の中は相変わらず爽やかな香りがする。
怜也はタバコも吸わないから、車内はいつも清潔感があった。
「少しドライブをして帰らないか?」
「うん、いいよ」
怜也は時々こうして遠回りをして私を楽しませてくれる。
この前は丘の上に車を止めて、一緒に夕日を眺めた。
今日はどこへ連れて行ってくれるんだろうと期待していたところ、車は古いトンネルの前で停車した。
トンネルの前には立ち入り禁止の看板が立っていて、コンクリートの壁があちこちがひび割れているのがわかった。
「ここって……?」
いつも素敵な場所に連れてきてくれて喜ばせてくれる怜也にしては珍しい場所だった。



