私のせいで彼は放課後の20分という貴重な時間を失ったことになる。
私は一緒に教室を出て職員室へ向かった。

「別に付き合ってくれなくていいのに。飯沼さんって妙なところで律儀だよな」
「私はいつでも律儀だし」

と、自信満々に言えば首を傾げられてしまった。
それから無事に先生にプリントを提出した私達は、なんとなくそのまま一緒に昇降口へと向かうことになった。

お互いに後は帰るだけだし、学校を出るまで方向は同じなのだから当然のことだった。

「今日も彼氏の迎えがあるのか?」
「うん。来てるよ」

職員室から出てスマホを確認してみると、10分前に怜也からの連絡が入っていた。
彼も大学に通っているのにこうして時間を合わせてくれるのは本当にありがたい。

「そっか、じゃあ、俺はここで」
昇降口で立ち止まった男子生徒に私はまばたきをする。
「なんで? まだ帰らないの?」