そこで気がついたのはごく普通の人が芸術家になったのだということだった。
元々特別だったわけじゃなくて、お母さんはそっち方面の能力を伸ばしたののだと。

それなら、それはどれくらいの努力が必要だったのか、興味が出た。
それで入部してみたけれど、結果は未知、だった。

成功者と同じ努力をしてみても報われない人はいるし、才能が開花するタイミングなんて人それぞれ。

もし私が美術部を続けていれば今頃なにかのコンテストで入賞とかしていたかもしれないけれど、続けられるかどうかも、人それぞれ。
結局のところ、わからないものだった。
「ほい、できた」

なんだかんだ考えている間に適当な言葉でプリントは埋まっていた。
なんとなくそれっぽいことは書けたからよしとしてもらおう。

「じゃ、これは届けておくから」
と、私の手からプリントが奪われる。
「うん。でもそれはなんだか申し訳ないから、一緒に行くよ」