「よかった。俺も千尋ちゃんのことすごく可愛くていい子だなって思ってる」
いつの間にか車はひと気のない場所に停車していた。

横には大きな河が流れていて、太陽のオレンジ色に輝いている。
毎日見られるような変哲もない景色でも今の私にはそれが宝石のように見えた。

永遠に記憶に閉じ込めておきたいオレンジムーンストーン。
「千尋ちゃん。俺と付き合ってください」

手を握られて真剣な表情で言われると胸の奥がジンッと熱くなった。
こんな私が相手でいいんだろうか。

だって今日１日一緒にいてわかったことは、怜也は完璧過ぎる。
かっこよくてリードできて、思いやりもある。

そんな人と私が釣り合うんだろうか。
「なにか不安でもある？」
怜也はそんな私の心情を汲み取るようにして質問してくる。

だから、私の不安はすぐに消えていった。
この人とならきっと大丈夫。
不安は期待へと変わって、そして笑顔になってこぼれた。

「不安はないです。私も怜也さんのことが好きです」