「ダ、ダメじゃないです!」
私はぶんぶんと左右に首をふる。

ただ、ライン交換したあの日怜也が歩いて帰宅しているのを見て、車は持っていないものだと思いこんでいた。

「よかった。さ、乗って」
「お邪魔します」

助手席のドアを開けてくれる怜也へ一言言って車内へ入ると、ミントの爽やかなな芳香剤の香りがした。

シートは柔らかすぎず硬すぎずで、ひとまず安心した。
長時間移動するときに車だと、どうしても体がガチガチになってしまう。

「さ、じゃあ行こうか」
怜也が運転席に乗り込んだ瞬間、運転している姿を真横で見ることができるのだと気がついて心臓がドクンッと高鳴った。

「は、はい」
一気に緊張してしまった私の返事は見事に裏返ってしまったのだった。

☆☆☆

それから1日は本当に楽しかった。
怜也は運転も上手で車に酔うこともなかったし、遊園地はとても楽しかった。