確かにそうなのかもしれないけれど、娘に向かって男は太ももが好きだから出すようにと助言するのはどうだろうか。
と、おもいつつ久しぶりにショートパンツを履いてみるとしっくりきてしまった。

「上はキャミソールに長袖の薄い上着ね。一応お尻まで隠れるくらいの長さのやつ」
「お尻は隠すんだ?」

「なんでもかんでも見せりゃいいってもんじゃないのよ」
と言ってポイポイと私に服を渡してくる。

最終的になんだかいい感じのコーデになっているからさすが絵描きだと思う反面、ちょっとだけ悔しい。
「夜には帰ってくるのよ」
「当然でしょ!」

自分の仕事は終わったとばかりに部屋を出ていくお母さんの背中へ向けて、私は言ったのだった。

☆☆☆

「く、車ですか?」
約束時間に坂の下へ下りていくとそこには黒い普通車が停まっていて、中から下りてきた怜也に目を丸くした。

「言ってなかったっけ? 車で移動じゃダメかな?」