整形ストーカー

恐怖心から両手で安全ベルトをギュッと握りしめた。
さっきのニュース番組を思い出す。

亡くなっていた人の名前。
大……成……。
もしかして、大田?

「大田店長。、下の名前ってなんて言うんでしたっけ?」
心臓が早鐘を打つ中私はかろうじてそう質問した。

確か、成矢とか、成平とかだった気がする。
あのニュース、雑音さえ入らなければ……!

「俺の名前ぇ?」
突然湿ったような粘ついた声が耳朶を打った。
さっきまで一人称は『僕』だったはずだ。

「怜也」
大田店長が答えた瞬間、凍りついた。
息を吐き出せばそれも瞬時に凍りついてしまいそうなほど、全身が冷たくなる。

「え……」
「知ってるか千尋ぉ。他人になりすますためにはなぁ、オリジナルを殺す必要があるんだぜぇ?」

それは私の知っている怜也の声だった。
今までは声を変えて話しかけてきていたのだろう、雰囲気も話し方もガラリと変わった。
「お、おろして!!」