「まだ終電は残ってるな。実家まで送るよ」
大田店長に促されて、私は席を立ったのだった。

☆☆☆

大田店長と共に地元へ向かうための電車に乗り込むと、コンビニで購入したお茶を差し出してくれた。
「ありがとうございます」

ペットボトルの蓋を開けて一口飲むとホッと息を吐き出した。
駅へ来るまでの道でも雪菜の姿がないかヒヤヒヤしながら歩いていたのだけれど、電車に乗ってしまえばもう安心だ。

地元の最寄り駅まで直通なので乗り換えもない。
「疲れてるだろ、少し眠ればいい」

そう言われると眠気が襲ってくる。
ここ最近ずっと安眠とはほど遠かったので疲れも溜まっていた。

「いいんですか?」
「僕が起きておくから大丈夫」
「すみません。お仕事で来ていたのに」

「仕事は終わって飲んで帰るだけだったから、それも気にしなくていい」
大田店長の声がだんだん遠ざかっていく。