新しい店舗ができると言っていたから、その関係でここにいるのかもしれない。
「こんな時間にひとり？　なにかあったのか？」

大田店長が急に心配そうな顔つきになる。
なにも持たずに飛び出してきて、ここまで走ってきた私はボロボロの姿になっていた。

「大田店長……」
急に心細さがこみ上げてきて涙で視界が滲んだ。
泣くつもりなんてなかったのに、懐かしい店長の顔を見ると我慢ができなかった。

「うわあああ！」
私は子供みたいに大きな声を上げて泣きじゃくり、大田店長の胸に飛び込んだのだった。

☆☆☆

大田店長は私が泣き止むまでずっと背中をさすってくれていた。
それからファミレスへ連れてきてくれて、私は久しぶりに安心して食事を取ることができていた。

「すごい食べっぷりだな」
パスタにピザにパフェまで平らげた私を見て大田店長は驚いている。
「ごめんなさい。お財布も持ってないのにこんなに注文しちゃって」