まるで千尋が自分の腕の中にいるような錯覚に陥って、ウチは制服をきつく抱きしめた。

それはしっかりクリーニングされていて千尋の香りはしかなったけれど、それでも十分心が満たされた。

最後にやることがある。
ウチは制服を元に戻すと、部屋の中を見回した。

「ここはダメかな」
あまりに遮蔽物がなさすぎて、きっとすぐにバレてしまう。
そう考えて1階へ戻り、キッチンへと向かった。

思っていた通り、この家はリビングダイニングになっていて広く見渡せるようになっている。
ウチはここに決めて天井の隅、冷蔵庫の陰に小型カメラを設置したのだった。

☆☆☆

今のカメラは本当に性能がいい。
ウチは一週間に一度カメラを回収して映像を確認し、充電してまた仕掛けるということを繰り返した。

そして、その中で千尋がいなくなったことを知った。