それは地面に音を立てて落下したけれど、千尋は気が付かずにスマホで誰かと電話しながら歩き出したのだ。
ウチはすぐに鍵に駆け寄り、それを拾った。
普通なら相手に返すところだけれど、ウチはしばらくその場に立ち止まって鍵を握りしめたまま離すことができなかった。
千尋に『落としたよ』と声をかけて仲良くなることもできた。
だけどそうしなかったのは、鍵には千尋の匂いが染み付いていてそれが胸を締め付けて離さなかったから。
それからウチは無意識に鍵屋へと向かってきた。
「これのスペアをお願いします」
カウンター越しに若い男性店員と目が合ったので、ニコリと笑っておいた。
「30分ほどで出来上がります」
男性店員には怪しまれていなさそうだった。
飯沼家の鍵を手に入れたウチは天にも登る気持ちだった。
これでいつでも大好きな千尋に会いに行くことができる。
千尋の部屋に入ることもできる。
ウチはすぐに鍵に駆け寄り、それを拾った。
普通なら相手に返すところだけれど、ウチはしばらくその場に立ち止まって鍵を握りしめたまま離すことができなかった。
千尋に『落としたよ』と声をかけて仲良くなることもできた。
だけどそうしなかったのは、鍵には千尋の匂いが染み付いていてそれが胸を締め付けて離さなかったから。
それからウチは無意識に鍵屋へと向かってきた。
「これのスペアをお願いします」
カウンター越しに若い男性店員と目が合ったので、ニコリと笑っておいた。
「30分ほどで出来上がります」
男性店員には怪しまれていなさそうだった。
飯沼家の鍵を手に入れたウチは天にも登る気持ちだった。
これでいつでも大好きな千尋に会いに行くことができる。
千尋の部屋に入ることもできる。



