頬に木炭がついていることにも気が付かないまま、集中している姿。
そのどれもが本当に可愛くて夢中になれる姿だった。
ある時には部活帰りの千尋の後をつけて家まで行った。

家の中での千尋はどんな感じなんだろう。
そう思ってジッと観察していると、時々千尋は窓を開けて顔を見せてくれた。

そんなときはまるでウチの気持ちが通じたような気がして嬉しくて、夢中になってシャッターを切った。
そんなウチのことを神様はずっと見ていてくれたのだろう。

ものすごいチャンスが訪れたのはそれからまもなくしてからのことだった。
千尋が私服に着替えて家から出てきたのをみて、いつもどおり後をつけていたときのこと。

スマホが鳴ったのか千尋が歩道の横に避けて立ち止まり、バッグに手を入れたのだ。
そして手を引き抜く時に鍵が引っかかって一緒に出てきた。