今日は土曜日だから千尋の学校も早めに終わるのだけれど、千尋は私と違って学校に残っているようなのだ。

ウチは私服姿で校門前までやってくると、中の様子を確認した。
部活動に勤しんでいる声がグラウンドや体育館から聞こえてくる。

周囲に誰もいないことを確認して、素早く昇降口へと向かった。
私服姿で入り込んでいたとしても、ここの生徒だと勘違いしてくれる可能性はある。
だからといってみすみす自分からバレに行くつもりはなかった。

昇降口で靴を脱いで素足のまま廊下を歩く。
足元がヒヤリと冷たくて、少し震える。
真夏なら心地よかったかもしれないけれど、今は文化祭も終わって秋が深まった季節になっていた。

どんどん足先が冷たくなっていくのを感じて、できるだけ早く千尋たちのいる教室を目指す。
千尋がいるのは1階の美術室だ。