ただ、ここは文化祭なので、チェキ代は飲食代に入っているらしく、格安で千尋の写真を手に入れることができた。

その日から祖父母の家に行く回数が増えた。
月に1度だったのが2度になり、3度になり、毎週土曜日の学校終わりには必ず行くようになっていた。

「雪菜ちゃん、最近よく来るねぇ」
おじいちゃんが目尻にシワを寄せて嬉しそうに言う。
「うん。ウチ、この街気にちゃったの」

正確には、千尋のいる街だから気に入った。
千尋がこの街からいなくなれば、ウチにとっては無価値同然のものになる。
「そうか。ワシの生まれ育った街をそう言ってもらえて嬉しいよ」

おじいちゃんを騙している気になって、ちょっとだけ申し訳ない気持ちになるけれど、本当の気持ちは伏せておいた。

今はまだ誰かにこの気持を打ち明ける勇気はないし、そのつもりもない。
しばらく祖父母の家で休憩すると、ウチは決まって外出する。