この街はウチの地元じゃないけれど、祖父母が暮らしているから月に1度は来ていた。
「文化祭かぁ、暇だし行ってみようかな」

この日は土曜日で、学校が終わってから祖父母の家に来ていたウチはのっそりと起き上がった。
耳につけていたイヤホンを外してケースにしまう。

音楽は大好きだけれど、ずっとそれだけじゃさすがに飽きてきてしまう。
祖母と共に外へ出ると案外気温が高くて、歩いているとじっとりと汗をかいてきた。

「おばあちゃん歩くの大丈夫?」
最近少し足が痛いと言っていた祖母を気遣いながら徒歩10分ほどの場所にある高校へ向かう。

学校へ近づいていくにつれて大きな音楽が聞こえてきて、手作りアーチも見えてきた。
お祭りの雰囲気を肌に感じてワクワクしてくる。
「へぇ、食べ物の屋台が多いんだね」

アートをくぐって入ってみると、左右に食べ物の屋台がズラリと並んでいる。
色々な匂いが漂ってきて、食欲を刺激された。